2009.1 第14号 北海道の「林道規格(3級)の地域スタンダード」林道基準

林道規格(3級)の地域スタンダード策定に至った経緯

 近年、木材価格の低迷や公共事業の縮減等による地域経済の逼迫などの理由で、地域要望の減少等から林道事業に配分される予算が激減し、地球温暖化防止対策の一環である森林吸収源対策はもとより、数年先の森林整備や木材生産のコスト削減に影響を及ぼす可能性が高い状況となっている。
 そこで、今後の林道等整備のすすめ方や他事業との連携など具体の手法等について検討し方向性などを見いだすことを目的に、経験者や関係者、職員で構成する「今後の林道のおり方検討会」を設置し、その具体的な手法の一つとして「林道規格(3級)の地域スタンダード」林道基準について検討を進め、今までは突っ込み線形の支線・分線等を作業道等開設により整備を進めていた小区域の森林に、恒久的な林道を開設することで、継続的な森林整備を計画していくことが可能となった。
 この(林道規格O級)の地域スタンダード」林道基準は、林野庁との事前協議の結果、次の事項に該当する対象路線について平成21年度に各市町村からの要望を取りまとめ、路線単位で林野庁の一括承認を受けた後、平成22年度から公共事業で実施する予定である。

対象とする路線等

【対象路線】
・全体計画延長:0.2km以上
・利用区域面積:lOha以上
 対象とする林道については、林道規程第4条の自動車道3級において、「もっぱら森林施業の実施のための林道」である自動車道3級の突っ込み線形の支線・分線等に適用することとし、林道の起点・終点付近に標識等により当該林道の整備目的など(利用形態区分)や通行の安全等入林の注意を促すよう徹底する。

※もっぱら森林施業の実施のための林道
一般車両の通行が希少であり主として森林管理や森林施業のため林地への出入りや作業性等アクセス機能が重視される林道。

【設計車両】
(1)北海道スタンダードトラック
 北海道における森林施業の実態として、間伐や皆伐等の木材運搬においては8tトラックによるものが主流を占めている。(下表参照)
 また北海道では、2級以上の林道等から先線の作業道等でも、8tトラックによる木材の搬出をおこなっていることから、北海道の作業道等の車道幅員は3.0m以上確保しており、林道事業による3級林道規模(車道幅員2.0m)の計画では、北海道内の木材を運搬する車両規格からは効率的な施業は出来ない状況にある。
 3級林道はもっぱら森林整備用車両の通行を目的として開設されるものであるが、上記のような作業形態並びに今後拡大が予想される複層林や長伐期施業等における木材の搬出を効率的に行うことを前提として、北海道における標準的な車両の通行が可能な林道の規格とする必要がある。
 なお、設計車両の諸元は下表とする。

 (2)高性能林業機械
 高性能林業機械であるハーベスタ、プロセッサ、フェラーバンチヤ、スキッダ、フォワーダのうち、北海道に普及しているハーベスタ、プロセッサ、フェラーバンチヤについて規格を検討する。
 ハーベスタ、プロセッサはベースマシンがほぼ同じであることから、最も台数の多い12 t級を基準とする。また、タワーヤーダも履帯式を導入しているため、ベースマシンはハーベスタ等と同等と考える。
 タワーヤーダはホイール式(トラック掲載型)もあるが、北海道内には導入されていないこと、全国的に台数が減少しており、代わりにスイングヤーダの導入が進んでいることなどから対象外とした。
 なお、フォワーダは規格が小さいことから上記の車両が通行できれば、同車両も通行可能であるため基準から外す。
 以上のことから、諸元は北海道で最も普及しているハーベスタ等のベースマシンである12 t級のエクスカベータ(バックホウ等)とする。
なお、設計車両の諸元は下表とする。

【幅  員】
 車道幅員は、重量が小型自動車の約3倍にもおよび最も路体に与える影響が大きい高性能林業機械が安全に走行できる規格が必要である。
 また、高性能林業機械の設計車両幅と普通自動車の設計車両幅が同じ2.5mであること、さらに、設計車両幅はクローラ幅としており、自走時にはバックミラー等の付属物かおるため、安全な走行を考慮し3.0mとする。

【路  肩】
 本地域スタンダード規程はハーベスタ等の自走を想定したものであり、設計車両の
速度は6 km/ h と極端に遅いため、車両の路外逸脱等はほとんど考慮しなくても安全
に通行できる。また、設計速度20km/ h の北海道スタンダードトラック(8t車)を
対象とした場合は、車道幅員が3.0mであることから安全に車両の走行ができるため、
路肩幅員を0.25mとする。ただし、路肩が軟弱な場合においては0.3又は0.5mまで拡
大することができる。