2009.7 第15号 雨水を自然に分散させる、エコで低コストな林道の取り組み

アスファルト再生骨材は平成18年度の材料・路盤密度試験の結果から、切込砂利と同等の機能を有することが明らかになり、また、路面水に強い耐久性があることも確認されている。このため、コスト高となる排水施設工(側溝・横断管)を廃止し、路面にアスファルト再生骨材を用いて、路面全体に雨水を走らせ排水する構造の取組を、平成19・20年度で実施した。
 従来の横断管による排水では、側溝水を集水し排水しているため、排水量が多くなり、写真1のように、盛土法面の洗掘や崩壊の被害を受けている状況が見られる。このような状況が林地内で数多く発生すれば、林地崩壊につながる恐れもある。

このため、平成19年度は横断管を用いずに、路面にアスファルト再生骨材を用い、路面全体を側溝に見立て、路面水を木製アスカーブで導水し、木製路面排水工により徐々に排水する構造の取り組みを実施した。           
                                
 その結果、ア)路面水はアスカーブで適切に導水され排水されていた
      イ)一部の木製路面排水工の前後が、転圧不足により破損
 平成19年度の取り組み結果から、木製路面排水工の前後が転圧不足により破損したため、平成20年度は路面排水工による排水は行わず、路体に横断勾配を設け、路面水を自然に分散し排水する構造の取り組みを実施した。
 その結果、雨水を自然な形で分散し排水するという新たな構造ができたと考える。

 今後、この様な構造で実施出来ればコストの面では、
  ア)側溝を設けない事による、開設経費の縮減
  イ)路盤補修に係る維持経費の縮減
  等の効果が期待できる。
また、林地保全やエコの面では
  ウ)アスファルト再生骨材の利用によるCO2排出削減
  エ)側溝廃止による施工幅の縮小
  オ)雨水を分散することによる林地崩壊の抑制等の効果が期待される。
 これらのことから、この構造は近年求められている「自然に優しい林道」として期待される。今後は、基準や歩掛等を整備し、本格的な導入を進めていく予定である。